
あの子のサイダー
明日へ片足踏み込んだ頃 きみのことひとつ忘れたような気がした
ワンルームのアパートで疲れたあの子は寝息を立てている
過ごしていたのは見過ごしていた日々
部屋を出て右へ 3つ先の角
青白い自販機の光が目印
その先なんて知らなかった
あの子が好きなジュースを買って帰ろう
噛み砕きすぎた最後の場面
美化しすぎてる気がするきみの顔
泣けないわたしはなぜか昨日見た夢の話をしていた
わたしは正直だった嘘なんか少しだけ
自販機の先 細い曲がり角
河原への近道だって言ってた
あの子のサイダーを一口
強い泡が沁みると少し楽になる
明日あの子と河川敷へ行こう
古い赤い電車を眺めよう
青い缶をポケットに入れて
わたしは家へ急ぐ